【ドリーンブログ】今は亡き愛する人との健全な関係
私たちの愛する人が亡くなったとしても、その関係が終わったわけではありません。その形が変わるだけなのです。私は精神療法士、そしてミディアム(霊媒師)として、クライアントが亡き愛する人たちと、健全な関係を維持できるように手伝っています。健全な関わりを持つことは、死というベールを隔てた双方の魂にとって重要なのです。
愛する人がこの世から旅立った後、残された者にはさまざまな思いが溢れてきます。悲しみ、寂しさ、混乱などを、家族や親友を亡くしたばかりの人は皆感じることでしょう。一方で残された人の中には、亡くなった人に対し怒りや裏切られたという感情が湧きあがることもあります。
残された人は、亡くなった人に対して怒りを感じているなどとは認めたくないので、このような感情を克服するのは困難です。亡くなった人にネガティブな感情を抱くなど「正しくない」と感じてしまうからです。
でも、このような感情を抱くのは極めて正常であり、それを認めることが喪失感を癒すために必須なのです。亡くなった人には、私たちが彼らのことをどのように思っているか、すべて分かっています。向こう側にいる人々に隠しだてはできないのです!私たちが感情を隠せるのは自分に対してだけです。けれどもそうすると私たちの心は乱れます。本当の気持ちを否定することは、自分の幸せを遠ざけ、愛する人の魂の成長までも妨げることになります。
例えば私のクライアントだったローラは、父親が生前、身体を大事にしなかったことに強い憤りを感じていました。ローラの父親は長い闘病の末に亡くなりました。父親が喫煙や飲酒など不摂生な生活をしていたことが死期を早めたのだと、ローラは腹を立てていました。
同時に、自分が父親に対して怒りを感じていることに、罪の意識も感じていました。怒るなんて、死者に対する敬意が欠けていると感じていたのです。最初のセッション中に、父親は向こう側の世界から訪ねてきて、ローラに許しを請いました。父親は、ローラが今も苦しんでいることが心配で、自分は地上から離れられないのだと説明しました。
このようなケースはよくあります。愛する人の死に際して、私たちが平静を失っていると、亡くなった人は心配して私たちのそばから離れません。けれどもスピリットガイドになる場合を除いて、亡くなった人がずっとそばにいることは、彼らの霊的成長を妨げてしまいます。ローラの父親はスピリットの世界に昇華し、魂の成長を促すような活動を希望していました。けれどもまずローラに、そばを離れてよいという許可を与えてほしかったのです。
別のクライアントのメリーアンは幼い頃父親に虐待されたので、父親の死後もそれをずっと恨んでいました。
セッション中にメリーアンの父親は姿を現し、彼女を傷つけたことを悔やんでいる、どうか許してほしいと伝えてきました。メリーアンは幼少時代の虐待と父親の死という二つの悲しみを思い出し、思わず涙を流しました。そのとき、メリーアンの父方の祖父が突如現れたのです。祖父はメリーアンが虐待されたのは自分の責任だ、と言いました。メリーアンの父親が子供だった頃、ひどく彼を殴っていたのです。子供時代の虐待がもとで、メリーアンの父親は自身も我が子を虐待するようになりました。祖父はメリーアンに、自分と息子のことを許してほしいと請いました。二人を許すことでメリーアンも癒されていない怒りと恨みから解放されるのだと、祖父は説明しました。
ローラもメリーアンも、亡くなった父親を許したい気持ちはありました。しかし許したいと思うことと、実際に許すことはまったく別物でした。二人は私のカウンセリングを何回か受けて、やっと怒りを完全に手放す準備が整ってきました。
ローラの父親が不摂生な生活を続けたのは、不本意な職業生活を凌ぐための彼なりの方法だったと、ローラも理解できるようになりました。そして充足感のない仕事に縛られていた父親に対し、同情する気持ちも湧いてきました。そう考えることで、ローラは父親を責める気持ちを手放すことができたのです。
メリーアンも父親と祖父を許しました。彼女はこう考えることにしたのです。
「父と祖父のことは許しますが、その行為を許すことはありません」
これは根深い怒りを手放す一つの方法です。その人の行為を許すことができなくても、その人自身を許すことが一番大事だからです。
私たちが、愛する人を亡くしたあとに抱く感情を素直に認めて癒すことが、双方にとってよいことなのです。
亡くなった人に対して、率直な気持ちを手紙にしたためることも効果的です。手紙を書くときには、文章を直したり、自分の感情を抑えたりしないでください。亡くなった人にはあなたの気持ちがすべて分かっています。そしてあなたがネガティブな感情を抱いていることを非難したりしません。あなたが自分に正直になって許すことで、心の平和を取り戻し、幸せになってほしいだけなのです。
あなたと向こう側の世界にいる人は、これからも素晴らしい関係を築いていくことができるのです。私のクライアントの多くは、愛する人の死後、二人の関係は以前にも増して親密になり、お互いを信頼できるようになったと言いました。
死はあなた達が分かち合った愛の終わりではありません。覚えておいてください。愛は死ぬことなどないのですから!
「Doreen Virtue | official Angel Therapy Web site」2014年10月21日掲載のブログ より
ドリーン・バーチュー
エンジェルオラクルカードシリーズの著者。カウンセリング心理学博士であり、50タイトル以上の著書とオラクルカードの制作に携わり、“エンジェル・レディ”というニックネームで知られています。オンラインで受講するセミナーやワークショップの他、世界各国でライブワークショップも多数開催の実績を持ちます。
現在は信仰上の理由により活動を制限していますが、過去に執筆した多数の名作が、現在も多くの人々の心の支えとなっています。